改装工事

 さて建物の方ですが、『とりあえず屋根が飛んだところだけでも修理させてくれ』という大工さんのもっともなご意見(笑)により、まだユースになれるのかもわからないまま見切り発車してしまいました。

 敷地内に立っていた古い住居?を壊し、ぼうぼうの草むらをきれいに刈り取ると、意外に小ざっぱりしてきました。

まずは屋根からということで、屋根の板金だけ張った頃。

 朝晩は大雪グランドホテルでバイトしながら、日中は現場に顔を出したり、お金を借りる手続きをしたり、備品をそろえたりと、追われるような毎日でした。つーか、立ち止まったら不安で押しつぶされそうなので、もう開業した後の心配は横に置いといて、とりあえず12月下旬に店を開けられるようにすることだけに専念していました。大雪さんも10月で辞め、11月にはユースホステルの経営者になる講習会も受け、ついでに関東の友人たちに報告して糠平に戻ってきました。

その頃にはとりあえず一部屋だけ住めるようにしてもらいました。

 『ランチョ・エルパソ』や居酒屋『蔵』の皆さんにも、業者さんを紹介してもらったり、使っていない調理器具や食堂のテーブルをもらったりと助けていただきました。また以前書いたようにトマムの民宿オーナーからは布団や食器を格安でもらい、そんなものをまだ出来上がっていない館内に運び込んでゆき、なんとなく宿っぽくなりながら秋が終わってゆきました。

 ということで、開業まであとひと月弱です。なもんで、このコーナーもあと1,2回書けばいいのか~ なんとか繁忙期前には終われて、せんべぇ心からホッとしております。


びーご (2010年07月08日 21時44分)
先週はお世話になりました。
ルピナス十分満喫出来ました。
せんべぇさんオープンまでも大変だったのですね。
同年代の自分も頑張らねばと思います。

せんべぇ(2010年07月08日 23時51分)
びーごさま
こちらこそご利用ありがとうございました。
今年のルピナスは、春先の低温の為『大丈夫かな~』と心配していましたが、ちょうどびーごさんがいらっしゃったときに見ごろになりましたね 満喫いただけて、自分もうれしい限りです。
宿のオープンまでは本当にいろんな人に助けられ、運が良かったです。せっかく商売をはじめられたので、娘が成人するまでは何とか“つぶれないようにしたい”ものです。って、志が低すぎですかね

そうだ!ユースになろう

 突然ですが、みなに言って置きたいことがある。
と、なんか強気な出だしですねぇ 大したことではないのですが、なんかこのテーマを読んでくれている方々の中に、せんべぇを過大評価、というかすげー奴だと勘違いしてる人がいようです 昨日も商工会に行ったらTさんに『読んでるよ~。凄いね~。』と冷やかされました
 ちょっと現実の自分と、ブログ上のイメージが乖離し始めている気がして、怖い

 さて、自分の建物を手に入れたせんべぇとしては、“どのようなお客さん向けの宿をするのか”というのが次のテーマになりました。
 ハードのことを考えると、改装はするにしても古い建物、しかも温泉がない。という条件は糠平温泉街の他のお宿と勝負するには厳しいものがありました。また私の“夢”としては、昔の自分がそうだったように、“お金がないけど旅行好き”な人たちを泊めたいというものでした。そこで、学生時代に使っていたユースホステルに加盟しようと目論みます。ちょうど近くにはユースホステルがない空白地だったので、すぐに認めらるかなと考えていました。さらには、加盟すれば会員さん向けの新聞に新しいユースとして紹介してもらえるので、宿の存在を知ってもらうのにも有利だしね。

ユースホステルの看板
これさえ掛ければお客さんは続々来る”はず”でしたが‥‥

 最終的には開業するにあたってユースに加盟するのが一番苦戦しました。もう、『一時は無理かと思ったよ。』っていうくらいでしたが、このときもまた役場の方をきっかけに突破口が開けて、何とかユースホステルにしてもらえました。

ジャガイモの花

 用事があって上士幌まで下りたら、ジャガイモの花が咲いていました。牧草の刈り入れも始まっていて、農家さんたちは大忙しなんでしょうね。もう少ししたら小麦も黄色く色づき、カラフルな畑を見ながらドライブするだけでも気持ちがよくなります。7月の十勝平野は“北海道”チックでいいですよ。

 なお、もちろんのことだけど、きれいな風景だからといって畑の中には入らないようにね。

“たぶん”最後の宮仕え

 さて、糠平に引っ越したはいいけれど、“我が家”は前回書いたような状態で、住むには少しだけ不便な状態です。また、開業を12月に予定しているので、その間無収入なのも困ったもんです。そこでまたまた役場に相談に行くと、当時一番大きなホテルだった大雪さんなら、どっか部屋が余っているかもよ。と、『大雪グランドホテル』(下図)の支配人さんを紹介してくれました。
 さっそく『一時的に住むところを貸してくれませんか』と厚かましくもお願いに行くと、快く二つ返事でOKしてくれました。ラッキーと思い、さらには厚かましくも、『バイトさせてください』と頼むと、これまた二つ返事でOK。ええっ、いーのかなぁ?そんな簡単に決めちゃって まあ、自分は大変助かりましたけど。

 というわけで、(今後ユースが倒産しなければ)最後の宮仕えが始まりました。部署はフロントということで、十勝川のホテルでもやったことがあるから、仕事的には馴染みのあるところで安心して働きはじめました。フロントの仕事なので、朝と夕方は忙しいけど、昼間にゆっくり休みがもらえるので、その間に大工さんと打ち合わせしたり、お金を借りる算段をつけたりと、いろんなことをやっていました。結構時間的には忙しかったはずだけど、気持ちが乗っているので苦にならないどころか楽しかったですね
 そのうち現ガイドセンター代表の河田さんに頼まれ(脅され?)て、ネイチャーウォッチングという自然観察ツアーのガイドまでやらされる始末。もう何が何だか分からなくなりながら、夏が過ぎて行きました。


aimee-hoku-mahina (2010年07月05日 17時54分)
素敵ぃぃぃ〜o(*≧д≦)o〃
何て素敵な人生なんでしょう☆

せんべぇ(2010年07月05日 23時26分)
え~、なんか勘違いしてるよ~、aimee-hoku-mahinaさん。
なんとなく運に恵まれて、ここまで来ただけなんですよ。だから、そんな風に書かれると恥ずかしい

aimee-hoku-mahina (2010年07月07日 23時35分)
運に恵まれた、人に恵まれただけでも素敵な人生じゃないですかっ!

せんべぇ(2010年07月08日 23時53分)
その通りかもしれませんねぇ。このまま何とか無事に老後を迎えたいものです。

7/3のサイクリングツアー

 朝方まで雨の降る難しい天気でしたが、お客さんが朝食を食べ始めるころには雨が止んだので、今日は5人グループのお客様がサイクリングツアーにご参加くださいました。
 三国峠の駐車場はギリギリ雲の下。というわけで山の上は見えませんが、展望台から見下ろすと、雨に洗われ鮮やかな緑の樹海が楽しめました。

 十勝三股のルピナスは全開状態。株の下の方に付いた花から枯れて種になり始めています。でもあと一週間ぐらいはお花が楽しめるのではないかなぁ なにはともあれ天気が回復してほしいものです。

 それにしても健脚なお客さまたちで、お昼前には全員ユースまで戻ってきてしまいました

全然OKです

 間に立ってくれた所有者のご親族のTさんから、『民宿谷崎』を譲ってもいいというお話をいただき、まずは一緒に建物をのぞかせてもらうことにしました。

 『結構痛んでるよ~』
 『全然OKです』
 『ここはカーペットの下の畳腐ってるね』
 『全然OKです』
 『去年の秋、屋根が一部壊れてね』
 『全然OKです』
 『この部分なんだけど‥』

 『全然‥‥‥‥、OKです』

 というような状況ですが、こっちはお金がない立場、ハナから立派な建物なんかもらえるとは思っていません。むしろTさんが凄く気を使ってくれるのが申し訳ないくらいで、結局建物はタダ、土地代として良心的な金額を提示してもらいました。もうこの辺から冷静に損得やリスクを考えるのはいったん停止して、行けるところまで突っ走ることにしました。
 せっかく入った居酒屋『蔵』さんも、わずか3カ月で退職。蔵さんにはホントご迷惑をおかけしたと思います。そして5月には土地の売買契約を済ませました。(と思います。すいません、記憶が…) 同じころ、糠平舘の社長さんに声をかけていただき、旅館組合の懇親会に出させてもらい、同業者の皆様にご挨拶。←これ、すげー緊張した

 そして改装工事をしてくれる大工さんを探しはじめます。しかし、最初は皆さんやる気満々なのですが、現地を見るとなぜか(笑)腰が引ける状況。やはり上の画像ではねぇ そんな中、ようやく4件目に話した『熊倉組』の社長さんが(たぶん同情して)引き受けてくれることになりました。そして他の段取りもある程度めどがついたので、1996年の7月に上士幌町糠平へ引っ越してきました。


がちゃ@東京 (2010年07月03日 18時07分)
ふぅ~む。話には聞いていたけれど、
ホントにすごかったんですネェ。。。

このお部屋に何泊したかなぁ。。。。

せんべぇ(2010年07月03日 22時38分)
このお部屋(キタキツネ)ねぇ(笑) ほんといつ崩れるかとひやひやしながら商売していました
何とか切り抜けられて良かった、というのが偽らざる本音で~す。

『民宿 谷崎』ふたたび

 早めの進行で行くはずだったこのコーナー、気がつけば6月末になってもまだ終わらん 他のブログより書くのに時間がかかるので早く終わらせたいなぁ‥‥ ということで、続きです。
 民宿谷崎さんを譲ってもらう計画は頓挫しましたが、せっかく上士幌の人と“細ーーーーい”お繋がりができたので、それからも仕事の休みの時など、『良い情報がないか?』『せんべぇを忘れないでね』という魂胆で役場へお伺いしてました。

 また『ランチョ・エルパソ』の方は働いて3年近くが過ぎ、定番メニューはだいたい作らせてもらえるようにもなりました。自分は民宿をやりたかったので、洋食を極めて行くというよりは、ある程度何でも作れる方が将来の役に立つだろうということで、そろそろ違うお店で勉強しなおす時期に感じておりました。そこで1996年の3月から、音更町木野の海鮮居酒屋『蔵』さん(ハピオの中のお店です)で働くことになりました。

 でもって、和食的なことをまた一から覚え始めた矢先、一度はあきらめかけた『民宿谷崎』の建物を“売ってもいい”というお話が これは、ついに砂漠のノミ(6/6のブログを見てね)にもチャンスが回ってきたのかと、我ながらかなりテンションが上がってまいりました。


aimee-hoku-mahina (2010年07月01日 01時08分)
人生って凄いですね。人の思いって凄いですね。
だって、26の時からですよね?
凄いなぁ…今の私も26だけど…最近色々先を考えたりもしてますが…ほど通し(*/з\*)

せんべぇ(2010年07月01日 23時31分)
ぜんぜん凄くないですよ~。『なんか運良く進んできて、気がつけばえらく遠いとこまで来たね~』って感じです。
確かに最初の会社を辞めた26歳のときには、20年後にこんなことになるとは想像できなかったけど。でも、振り返ってみると20代後半から30代は元気があっていろいろ楽しかったです。aimee-hoku-mahinaさんも、きっとこれからもっと人生楽しくなるよ。